この記事は古くなっている可能性があります。令和4年関税法改正により意見書による差し止め商品の取り戻しが極めて困難となりました。改正法の対処についてまとめていますので、ご参考ください。
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税関で運悪く差し止めの措置が取られた場合、
- 同じ商品の再発送依頼
- 商品代金の返金
- 税関に意見書を提出して自分で通関する
3つの選択肢があることはお伝えしました。
今回は3つ目の手段、税関に提出する意見書の書き方をご説明したいと思います。
あくまで、現行法に則っての意見書になります。
今後、法改正により関税法などが改正された場合は、この書式は通用しない可能性があります。
輸入差し止め通知(認定手続き開始通知書)の受取
購入した商品が税関検査により輸入の差し止めをされた場合、認定手続き開始通知書が書留で送られてきます。
初めてこの通知を受け取った際は軽いパニックになりますが慌てないで下さい。
この時点ではまだ「没収」ではありません。
なければ、権利者側の意見が認められ没収・廃棄される可能性がありますよ。
という内容が書いてあります。
下記は実際の書面です。管轄税関により多少書式が違う場合があるようですが、内容は同じものになります。
下記は実際の通知書のサンプルです。(パーソナルな情報が多いので墨消ししています)
意見書を提出して商品を取り戻す覚悟ができたなら、速やかに意見書の作成に取り掛かりましょう。
提出期限は通知書の受取りから10日以内です。
意見書の書き方と提出方法
意見書に記載しなければいけないのは下記の内容です。
- 受取人氏名
- 受取人住所
- 電話番号
- 開始通知番号
- 疑義貨物の追跡番号
- 差出人名
- 差出人住所
- 疑義貨物の内容
- 意見内容
- その他、追加書類
ほとんどの情報は認定手続き開始通知に記載されていますので、間違いの無いように書き写しましょう。
重要なのは意見内容の項です。
ここで商標を侵害しない貨物であることを主張しなければなりません。
個人での使用目的に限り、現行法では商標の侵害にはならないということは説明しました。
このルールに従って意見を述べていくことにします。
この度輸入の差し止めを受けた疑義貨物については、私自身が中国より輸入したものに間違いありません。
私自身が個人的に使用するためだけに輸入した貨物となります。
転売・貸出・譲渡など私以外の第三者に渡る行為を行うことは一切なく、あくまでも個人の範囲で使用を目的としています。
したがって、今回の疑義貨物は「知的財産権の侵害とはならない物品、業として輸入されるものでないもの」に該当します。
私個人は確かに存在しており、疑義貨物の転売が疑われるような職には就いておりません。
添付書類をご査収の上、審査のほどお願いいたします。
意見の内容に「コピー品だとは知らなかった」などしらばっくれるような事は書く必要はありません。
知ってようがいまいが、侵害物には変わりありません。
重要なのは輸入者個人の使用が目的で、第三者に渡る行為を行わないことを明言することです。
また、最後に「私個人は確かに存在しており」とありますが、
最近では国内のコピー品販売業者が個人を偽って、輸入しているケースが多いために追記しています。
実際に存在する人物であり、コピー品販売業などとは無縁のサラリーマンであることを、
身分証明書、社員証などの添付書類と一緒に証明しています。
これは必須ではありませんので、あった方が良い程度に考えてください。
意見書に決まった書式はありませんので、A4用紙などに必要な項目を自身で書いてください。
実際に作成した意見書のテンプレートpdfを載せておきますので、参考にしてみてください。
コピー品を輸入しておいて妙なことを言いますが、決して悪用はしないでくださいね。
意見書提出後、受取までの流れ
意見書の作成が完了したら、通知書1枚目の末尾にある連絡先欄の税関出張所に送付しましょう。
意見書が受理されると、次のフェーズに移行されます。
この後は特にアクションを起こす必要はありません。
具体的な流れは下記の通りです。
- 意見書を提出、受理される
- 権利者側からの意見書・鑑定書が送付されてくる
- 追加証拠提出の有無を問われる通知がくる
- 認定結果の通知
- 通関
意見書を提出した後に2回ほど新たに通知が送られてきます。
権利者側の意見書・鑑定書、証拠・意見提出期限通知書の2つの通知です。
これらの通知に対して反応は不要です。
最初の意見内容から主張が変わることもなく、追加証拠書類もありませんので基本的に無視です。
最後の通知から規定の日数が経過すると、最終的な審査が行われます。
侵害品に該当しないという認定結果が下されると、無事に通関となります。
最初の意見書提出から約4週間程度で手元に届くことになります。
まとめ
経験を踏まえた上で意見書の書き方をかなり詳しく解説してみました。
他に紹介しているブログなどがなかったので、困っている方には有益な情報かと思います。
現行ではこの内容で侵害品の認定、没収は免れる可能性は高いのですが、一つ注意点があります。
それは輸入貨物の数量です。
個人使用の範囲として妥当であるかの判断に、輸入貨物の数量が大きく関わっています。
例えば、個人使用でヴィ〇ンの財布を10個も必要なんておかしいですよね。
もしあなたが調査官なら
「明らかに転売や譲渡目的では?」
となりませんか?
短期間で複数回に分けて大量に輸入している場合も同じです。
本当に個人利用の場合でも、大量に輸入する場合は通らない可能性があることは心に留めておきましょう。
やりすぎずにほどほどに楽しむくらいがちょうどいいかもしれません。